大寒を越えると、沖縄もだいぶ寒くなるものだ。
師匠の宴で冷酒を呑み、宴が終わると、ならい風に吹かれる。
そんな、冷えきった身体が求めるのは燗酒。
それなら、よし、あそこだな。
宜野湾へ向かう。
酒場の戸をくぐり、店主の元気な挨拶に、実は少し不機嫌だったボクは、ニヤリ笑顔になる。
これは店主の素敵な魔法だなぁ。と思いながら席に着く。
酒は新亀ぬる燗。
佐渡の北雪はお燗向きのしっとりな酒。
アテは、マグロ刺しに、
イワシ揚げと、
チーズ豆腐。
酒がすすみ、何となく先の宴で、ちょっと苛立った事を、ふと思い出す。
せっかちな性分なので、勝手に苛立ったんだけど・・・何か、もやもやする。
そんなとき「何か食べますか?」と、店のお兄さん。
何か「おすすめ教えて?」と、返すボク。
「スルメ」と即答され、「スルメイカか・・・」無言になるボク。
嫌いではないけど、炙り〆鯖や、えびのガーリックオイル煮など、派手なアテに比べ、言い方は悪いが、何か地味だ。と思っていた事と、メニュー端に小さな字で書かれていることも相まって、今まで注文しないでいた。
だが、おすすめなら喰ってみよう。
少し間をおいて注文する。
そして、届いたスルメイカは、小さめの乾物。
ちびり、ひと口かじると、思った以上の強いうま味があり、香りもいい。
ぷは~っ、
燗酒を呑むと、スルメイカの後味で何かが、口の中で泳いでいる様な感じ。
さらに、スルメイカをちびりかじる。
おっ、今度は苦いぞ。これ、ワタが入ってるんだ。
少し嬉しいおどろき。
イカをちびり、酒をぷは~っと、時間をかけて何度か繰り返していると、ふと気づく。
あれっ、穏やかになり、もやもやが無くなっている・・・
かじられて小さくなった、スルメイカを見る。
すると、なにをそんな事で苛立っていたんだろうと我に帰る。
人は人。自分は自分。
コントロール出来ない事はしょうがないじゃないか、と思えてきた。
なんだか、この地味で小さなスルメイカに、教えてもらった気がするなぁ。
で、スカでさっぱり^^
明るい農村のお湯割りでほっこり^^
〆
そんな、夜であった。
~宜野湾市 喜友名 松っさん~